2011916()

東奥日報

 


世界の街角から

 

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鈴木栄一/米国の強い影響(ミクロネシア連邦)/軍入隊志願の青年多く

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ポンペイ州にあるスーパーは多くの輸入食品が並べられており、米国のスーパーを連想させる

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ポンペイ国際空港の到着ターミナルには、殉職したミクロネシア人兵士の写真が飾られている

 

 ミクロネシア連邦の憲法の前文には「多くの島々に住む人々が、一国民として結ばれるには、それぞれの文化の多種多様性を尊重しなければならない」「戦争を知っているがゆえ平和を願い、分割されたがゆえ統一を望み、支配されたがゆえ自由を希求する」とある。この国の置かれてきた状況を見事に表している。

ミクロネシア連邦を構成する四つの州は言葉、文化、風習が異なる多民族国家である。これまでスペイン、ドイツ、日本、そして米国から支配ないし統治されてきた歴史がある。

現在のミクロネシア連邦は、特に、米国の影響を強く受けている。第2次世界大戦以降、米国は国連信託統治領として独立まで統治してきた。ここでは、英語が公用語として話され、米ドルが使われ、スーパーマーケットには、たくさんの輸入品の缶詰、肉、ハム類、飲料水などが並べられている。その多くは、米国からのものだ。

ミクロネシアの人たちの大きな悩みは糖尿病の人が多いことだ。自然の恵みが豊富で、魚を捕り、パンの実、バナナ、ココナツなどさまざまな果物が草木に下がっており、ミクロネシア人はこれらの食生活で健康的な生活を送っていたが、現在では、多くの輸入食品に依存した食生活となっている。

朝からカップ麺や山盛りのご飯に魚の缶詰をかけて食べたり、コーラやジュースなど飲料水も含め糖分の高いものを摂取していることから、生活習慣病が実に多い。

モリ大統領が「われわれは、輸入食品の消費量を少なくしなければならない。

特に、塩分、脂肪、糖分の高い食品は、糖尿病、心臓病などの病気を引き起こすことから、もっと地元で取れたものを食べよう」と呼びかけているほどである。

先日、ポンペイ空港の到着ターミナルで追悼式典が行われた。2004年以降、イラク、アフガニスタンで殉職したミクロネシア人兵士を追悼するため開かれたものだ。大統領、副大統領、連邦議会議長など出席する中で、9人の殉死した兵士を自由と民主主義のために戦ったヒーローとしてたたえる関係者のスピーチが続き、その後、遺族が空港内に掲げられている遺影にかぶさっているベールを次々にはずしていく。

その中には、今年に入ってアフガニスタンで殉死した人、さらに女性兵士も含まれていた。最後に、米軍による鎮魂のラッパが響き渡る。なぜ、ミクロネシア人兵士が殉死するのか。実は、多くのミクロネシア人が米軍に志願している。大統領の娘さんは米空軍に所属し、以前、沖縄勤務も経験したことがあるという。副大統領の息子さんも米陸軍に入隊している。

ミクロネシア人が志願する動機は、入隊すれば得られる経済的メリット、さらに米国大学で学ぶ機会が開かれていることなどもあるが、米国とミクロネシア連邦の間で、米国はミクロネシア連邦とその国民を米国および米国人と同じように外部からの攻撃、脅威から守るという約束があり、多くの青年たちが志願する動機もこの約束とは無関係ではない。

(東奥日報HPより掲載:http://www.toonippo.co.jp/rensai/ren2011/sekai-machikado/20110916.html)

 

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