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東奥日報

 

世界の街角から

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鈴木栄一/世界有数の親日国(ミクロネシア連邦)/政治・経済で日系人活躍

 

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首都パリキールで7月に開かれたモリ大統領の2期目の就任式。前列右から2人目が大統領

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日本が供与したキャロライン・ボイジャー号は、島民の生活になくてはならない貨客船となっている

 7月29日、モリ大統領の2期目の就任式典が、ポンペイ州にある首都パリキールで執り行われた。パラオ共和国およびマーシャル諸島共和国大統領とともに、わが国からは菊田真紀子外務大臣政務官(当時)が出席した。

 この就任演説でモリ大統領は、持続的な経済発展なくしては、国家としての真の自立がないとして、広範にわたる分野での改革を訴えた。大統領がそのように訴えたのには理由がある。ミクロネシア連邦は、財政収入の60%から65%を海外からの援助に依存しているからだ。

 特に米国との間では、1986年に独立した際、自由連合協定を結び、財政収入の45%にあたる財政支援を受けており、この協定は2004年に改定されたが、23年には協定が終了する。それ以降は経済的に自立することが求められており、ミクロネシア連邦にとっては、早急に何らかの手だてを講じなければならない喫緊の課題である。

 日本もミクロネシア連邦にこれまでさまざまな経済開発支援を行ってきた。

この国は607もの島からなり、そのうち50を超える島々には島民が住んでいるが、これら島々を運航している船がキャロライン・ボイジャー号であり、唯一の貨客船である。

 この船は、日本が13年前に政府開発援助で供与したものである。離島からの教師や学生、時には患者など一般の人々から、水、食糧、家畜、ディーゼル燃料、ワクチンなどいろいろなモノを運搬し、ある時は捜索・救助、選挙の際には、投票箱の輸送までさまざまな用途に使用されており、文字通り、島民にとってライフラインとなっている。

 また、現在、ミクロネシア連邦には30人を超える日本からの青年海外協力隊、シニア海外ボランティアが、理数科教師、コンピューター技術、村落開発普及、環境教育などに従事し活動している。彼らはどのような厳しい環境へも溶け込んで、現地の住民とともに一緒になって働き、汗を流している。

 ロバート外務大臣は、彼らボランティア隊員はミクロネシア人が抱いていたこれまでの日本人に対するイメージを変えたとまで言い切って高く評価している。

 ミクロネシア連邦は、日本にとって大切な国である。日本との歴史的に深い関係にあるこの国は、政治、経済分野のリーダーとして日系人が活躍しており、世界でも有数の親日国となっている。国連などの国際場裏ではわが国の立場を常に支持する信頼できる支持基盤となっている。

 さらには、カツオおよびマグロについては日本の漁獲の8割を中西部太平洋に依存しており、ミクロネシア連邦はその中でも有数の大きな排他的経済水域と豊富な資源量を有していることから、わが国の国民の食にとり重要な漁業資源国となっている。

 日本は、今後ともミクロネシア連邦と友好親善と信頼関係を基礎とした協力関係を進めていかなくてはならないものと考える。

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