年頭に当たって

   新年明けましておめでとうございます。皆様元気でお過ごしのこととお喜び申し上げます。
 
   平成26年5月に第三代在ミクロネシア連邦日本国特命全権大使として着任し、早いもので一年半が経過しました。ご案内のように、ミクロネシア連邦と日本とは長い歴史的関係を有し、国民の約2割が祖先に日本人を持ち、また、4州の異なる現地語の中で多くの日本語が使われています。こうした日本との絆と当地の人々の穏やかで温かい人柄のおかげで家内ともども元気に楽しい日々を送っています。
 
   当地で使われている日本語は刺身、運動会、選手、先生を始め多岐にわたっています。先日クリスチャン大統領の好意でチューク州モートロック環礁タ島に同行する機会を得て、現地に向かう機内で大統領が書き出した30以上の日本語のリストを頂きました。後日、大統領から、リストの中にあった100メートルはミクロネシア連邦では短距離走を意味する言葉として使われていて、50メートル走のことを「50メートル100メートル」と言っているが、これは論理的にはおかしいと思うという話を聞き、日本語が深くミクロネシア連邦の人々の生活に関わっていることに改めて驚きました。
 
   昨年は日本とミクロネシア連邦にとって素晴らしい一年でした。就任後一週間でクリスチャン大統領が訪日、島サミットに参加しました。古屋政府特使による大統領就任式への参列、シミナ連邦議会議長一行の長崎原爆平和祈念式典参列、クリスチャン大統領の再度の訪日、安倍総理との会談とハイレベルでの交流が活発化するとともに、学生や子供たちの間での交流も盛んになりました。また、日本漁船の連続拿捕で悪化していた両国間の漁業関係も大きく改善されました。
 
   着任以来、二国間の絆をテーマに議会、コミュニティカレッジ、高校、小学校を始め多くのところで講演を行ってきました。その数は昨年末までで30回になりました。こうした顔の見える関係づくりの成果もあって、昨年10月17日に開催したジャパンフェスティバルでは前年の2倍を上回る700人を超える人々が集まり盆踊りを始めとする日本文化を楽しんで頂きました。また、11月19日に催した天皇誕生日祝賀パーティーにも、前年の90人余を大きく上回る160人を超える皆さんに参加して頂きました。いずれも二国間の絆を深める素晴らしい機会になりました。
 
   私は着任以来、大使館が置かれているポンペイ州だけでなく、チューク州、コスラエ州、ヤップ州を訪問し、各州で異なる文化、言語に触れるよう努めています。この場を借りて各地で大変温かく歓迎して頂いたことに厚く御礼を申し上げたいと思います。昨年11月に家内とともに訪れたコスラエ州では大学から小学校まで九つあるすべての学校を訪問し二国間の絆について話をしました。最後に訪れたワラン小学校で帰り際に子供たちが校歌を歌ってくれました。校歌の最後は日本語の「頑張れ」という言葉で結ばれていて大変感動しました。子供たちの激励の言葉を胸に今年も二国間の絆をさらに強いものとするため努力していきたいと思います。 
            
                         平成28年1月1日
在ミクロネシア連邦日本国特命全権大使
     坂井 眞樹