年頭に当たって

     新年明けましておめでとうございます。

     私が、駐ミクロネシア大使として昨年6月に着任してから、半年余りが経ちました。ミクロネシアは、600以上の島や環礁からなる国です。周囲の海は、どこもとても美しく、それだけでも訪れる価値のある国ですが、美しい自然以外にも豊富な観光資源があります。

     昨年7月には、ここポンペイ島にあるナン・マドール遺跡がユネスコ世界遺産に登録されました。これは、西暦1200年頃から1500年頃にかけて建設された100以上の人工島からなる巨石遺跡です。私も実際に行ってみましたが、古い王朝時代の雰囲気を醸し出している、とても素晴らしい遺跡です。昨年11月には日本のテレビでも紹介されました。ポンペイ州以外でも、コスラエ州にはレラ遺跡やメンケ遺跡があり、ヤップ州には世界的にも珍しい大きな石貨があります。また、チューク州を始め、ミクロネシア各地に、日本統治時代の痕跡が残っています。この国の魅力は、沢山ありますが、何よりも治安の良さと人々の優しさが最大のポイントだと思います。日本からも、それほど遠くないので、多くの観光客に来てほしいと願っています。

     日本は、先の大戦が終わるまでの約30年間、この地域を統治していました。そのため、現在でも、食文化や言語に日本の影響が色濃く残っています。近海で獲れたマグロやカツオなどの魚に醤油をつけてサシミとして食べたり、数多くの日本語語彙が現地語で使われています。昨年コスラエ州を訪問した時には、現地高校の生徒達が「コスラエ・ガンバレ」という歌を歌ってくれました。歌詞には何度も「ガンバレ」と出てきます。また、ポンペイ州ネッチ地区の「インピオカイ」と呼ばれる催しに参加したことがありますが、これは地区の農作物の「品評会」でした。ある朝、ポンペイ・カソリック・スクールを訪問した時には、全校生徒300人以上が日本のラジオ体操をしていました。長年にわたって毎朝やっているラジオ体操を「タイソウ」と呼んでいるそうです。

     ミクロネシア海域は、日本のマグロ・カツオ漁にとって最重要漁場の一つです。また、近年、キャプティヴ保険を始めとする多くの日本企業が当国に進出・登録を行っています。こうした経済分野や経済協力分野だけではなく、観光・文化・人的交流など様々な分野で、両国の関係が促進することを願って止みません。2018年は、両国の外交関係開設30周年です。今年そして来年が、両国関係の更なるステップアップの年となるよう、内外の関係者と一緒になって、全力で取り組んでいきたいと考えています。今後とも宜しくお願い申し上げます。
 
駐ミクロネシア連邦日本国特命全権大使 堀江良一