美しい島コスラエでゴミと奮闘
-JOCV森田理絵隊員-

 

Text Box:    同僚と一緒に(中央:森田隊員)森田理絵隊員(環境教育)の配属先は、コスラエ州運輸・インフラ局です。日本大使館はここで、ミクロネシア連邦で初めての福岡方式(ミクロネシアでは準好気性埋立構造方式)を導入したゴミ処理場の建設を草の根・人間の安全保障無償資金協力(約9万ドル)で支援しました。

 

このプロジェクトは、2006年2月に開始され、当初、2007年2月に完成する予定でした。ところが、工事は悪天候や建設機材の不足(コスラエ島を襲った高波災害の復旧作業で建設資材・人員が払底)、燃料高騰などで遅れに遅れて、2008年10月、漸く完成に漕ぎ着きました。その過程では、プロジェクトの進捗を心配して、佐藤大使やJICA浜田所長、パラオ共和国コロール州藤勝男専門家、JICA天野史郎専門員などがコスラエ州を訪れ、州知事ほか関係者を励ますとともに技術的助言を行っています。

 

2008年11月26日、プロジェクトの完成を報告した佐藤大使に対して、アリク副大統領(閣僚級環境対策チームの長。コスラエ州出身)は完成を喜ぶとともに「ミクロネシア連邦における(最初の福岡方式ゴミ処理場の)モデルとしてしっかりと運営して行きたい」と述べています。

草の根・人間の安全保障プロジェクトのコスラエ州中央ゴミ処理場を完成に導き、その後順調に運営している立役者の一人は森田理絵隊員です。ここでは、森田隊員の報告を紹介します。

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私の任地はミクロネシアの4州の中で最も人口が少なく(8,000人弱)、10×10kmという小さい島のコスラエ州。町には小さい商店があるだけで娯楽施設は皆無、静かでのんびりとした雰囲気で、目が合うとにっこり微笑む穏やかで優しい人々と一緒に暮らしています。

コスラエは観光地化されていない未開発な自然に恵まれているのですが、島は輸入に頼っているのでモノの流れが一方通行、ごみが増え続けています。定期的なごみ回収システムがなく、各自治体にごみを運び山積みするだけ(Open dumping)の不衛生なごみ捨て場が一つずつあるだけで、ごみを運ばない家庭は家の裏庭や道路の脇にごみを投棄しています。日本では当たり前な「適切にごみを出す→適切にごみを集める→適切にごみを処分する」というシステムがこの島にはありません。

そこで私は「適切にごみを処分する」ための衛生的な廃棄物処分場を建設する『コスラエ州廃棄物管理改善計画プロジェクト』に携わっています。衛生的な処分場というのはOpen dumpingの不衛生なごみ捨て場の一つを「準好気性埋め立て構造(福岡方式)」に改善します。この構造を簡単に説明すると、ごみで汚れた水を速やかに集め、かつ電力を使わず自然に外部空気を取り込むことでごみ山の中を好気性に保ち、分解と安定を促進する仕組みで、環境への影響を減少させることができます。日本の処分場では一般的に使われている技術ですが、ミクロネシア国で初の衛生埋立処分場となります。前任の方によって、2006年在ミクロネシア日本大使館の草の根無償資金協力として承認されたプロジェクトを引き継いでいます。

2007年9月の赴任当初は苦労しました。同年2月に終わっていたはずの工事は途中で頓挫していたこと、プロジェクトの資金が尽きていたこと、配属先のボスが赴任前に変わっていて、私の派遣を理解していなかったこと、配属先は予算も人も機材も削減・縮小化されている部署であること、毎日雨が降るコスラエで、「雨が降らない日が3日続けば仕事する」と現実味のないことを言われたこと。ないないづくしの配属先で、私は何しにここへ来たのか?何ができるのか?と模索する日々が続いた時期はつらかったです。

でもいつも救われていたのは「顔はいかついけどクマのプーさんのような体型でいつも優しく声をかけてくれる同僚たち」でした。炎天下の中一緒に汗を流し、休憩時間になると冗談や下ネタを言っては大笑い。雨が降れば今日はおしまい。そんなゆっくりとしたコスラエペースでしたが、派遣されて1年経過した2008年10月末、関係者皆様のご尽力で廃棄物処分場は完成に至ることができました!


Text Box:    同僚と一緒に(中央:森田隊員)

今まで怒ったり泣いたりしたことが全部吹き飛んでしまいました。
完成した処分場の決められた場所にごみが搬入されていく様子を見て、ひとり感動したものです。

残りの任期では、この処分場を持続的かつ適切に運営管理できるよう配属先のスキルアップを目指すことと、この処分場をもっと住民に知ってもらうこと、少しでもこの処分場を長く使ってもらうためにも住民へごみの分別化と減量化を広めていこうと思います。  


Text Box:    同僚と一緒に(中央:森田隊員)


不衛生だったごみ捨て場(Open dumping)を閉鎖し職場の同僚と一緒に、ヤシの木・パパイヤの木・タピオカ・パイナップルを植えて畑を作っています。また、道路沿いにはハイビスカスなどの花を植えて、美化改善に努めています。(追記:下の写真は、旧ごみ捨て場のゴミの山を処理した後に、経過措置としておいたごみ箱です。その後、これらのごみ箱は撤去しましたが、住民は新しく建設された福岡方式の廃棄物処理場までごみをきちんと運ぶようになりました。


Text Box:    同僚と一緒に(中央:森田隊員)


処分場で働いていると、ごみを観察しているうちにアイデアがひらめいたり、島の人から「ごみ処分場でいつもごみ拾いしているSrue(私のコスラエ名)」とか「ごみ処分場の前を通るとSrueを思い出すよ」と嬉しいような悲しいようなコメントをくれたり。そんな私は今日もごみにまみれて?

活動しています。

願わくは大好きなコスラエ島を後世へ美しいままで残せるようにしたいです。


(ミクロネシアJOCV環境隊員ブログ-2008-11-19隊員活動紹介より転載)
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